



今日も疲れた。
最近残業続きだな。
まあ、仕事があるだけありがたいのかな。
あ。

そうか、もうすぐ記念日か。
今年で丸3年。遠距離恋愛も随分と続いてるもんだ。
そういえば、何も準備していなかったな。

付き合った当時、僕は夢を追っていた。
無我夢中で頑張る姿が好きだと言ってくれていた。
でも結局夢は叶わず、就職をした。
彼女を置いて、一人で東京に来た。

今の俺は、何を追ってるんだろう。

読んでない本も随分と溜まってきた。
仕事に関するものも、彼女におすすめされた小説も。

そう、僕は小説家になりたかったんだ。
昔から妄想を繰り広げるのが好きだった。
頭の中だけでも好きな子を笑顔にしている姿を思い描きたかった。
決して敵わないと分かりながらも、魔王を倒して世界を救いたかった。
なんでもない日常を面白く、楽しいものにしたかった。
そんな景色を誰かに届けたかった。
知らない誰かと一緒に夢を見たかった。
小説家になればそれができると思った。

まあ、もう今の僕には無理か。
これは・・・

公募ガイド・・・?
公募ガイドってなんだ。
へー、誰でも応募できるのか。
しかも小説も受け付けている。
どうだろう。またやってみようか。
いや、もう無理か。
今さら夢なんて追ったところで・・・


「待っていても、はじまらない。」
そうか。待っていても始まらないよな。
夢が来てくれるわけでもないんだし。

よし、久しぶりに書いてみるか。


♪ピーピーピー

出来上がったか。




うまい。
こんな手軽にサラダチキンが作れるなんて、すごいよな。
サラダチキンメーカーなんて、いいものプレゼントしてもらったな。
今度会ったらありがとうって言わないとな。
あ、そうか。


記念日、手紙でも書くか。
夢を書こう。
まずはいちばん大事な人に、届けよう。


※このお話はフィクションです。実際の登場人物や団体とは何の関係もございません。ただ、サラダチキンメーカーは存在します。美味しいです。